多くの塾卒業生の中で忘れられないベストワンは…。

彼の兄貴は身長もあり運動神経抜群で学力も有り進学は順調で有名大学に行っていた。
彼はチビで足も遅く、勉強は超最悪)
中学3年生の段階で、英語はまだアルファベットが書けない。
数学はマイナス算が全くわからない、と言うありさま。
とても一般授業ではついてこれない。

勉強のできない子供の苦しみってわかりますか?
毎日毎日6〜7時間に及んで、ただ机に座っているだけ、暇で暇で超退屈。
不良になってストレスを発散できる生徒はまだいいが気の弱い生徒は、それすらさえできない。
ましてや親、教師達からは一言目にはおきまりの説教。
耳にたこができている。

大人でこの状態で3日も我慢できる人がいたら見てみたい。
それを彼は3年間も続いていたのだ。
もしかするとそれ以上かも…。
彼と会ったのは中学3年の4月、そんな辛い授業を更に塾で夜遅くまで…。
1学期は彼の様子を見ながら授業を、と言っても私の授業の大半はお話ばかり、思春期の彼等に必要な言葉を「先生のお話は頭の栄養素、吸収したければ目で聞け!」と、いろいろな考え方をお話しした。

「納得できなければノー、納得できればイエスと言える人と納得できなくてもイエスと言える人。
どちらが利口か?
前者は誰でも出来るが後者は為すことが難しい。
なぜ難しいのかというと相手に対し愛情とか尊敬とか親愛という気持ちが無いと不可能だからだ。
運動が苦手でも良い、勉強が出来なくても良い、でも利口な人間にはなっていこう、幸福は利口な人にしかやってこないからね、」

彼はこの言葉に反応した。

やがて夏休み、個人面談が始まった。
「兄貴は優秀だし、それに比べ俺はチビだし運動も勉強も何をやってもダメ、気は小さいし、生まれてこなければ良かった」と目に涙を浮かべながらこぼし始めた。
私は、その言葉を聞いて「おまえ、徹底的についていないなぁ」と大笑いをした。

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